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狂喜乱舞するブログ

夏の夜の夢 予習ノート①(シェイクスピアと夏の夜の夢 概要)

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推しがシェイクスピア作品に出るとの情報が解禁されてひっくり返ったのですが、シェイクスピアという名前は知っていてもロミオとジュリエットを映画で一度見た程度の知識しかなかったので、軽く勉強してから臨もうという気持ちで予習ノートを作成しました。

 

目次

 

読んだもの

ド素人なのでド素人が手軽に読めるものを選んで読みました。今回は2022年日生劇場の夏の夜の夢の予習なので、訳担当の河合祥一郎先生の著書が中心です。頭に振った番号がそのまま文中の文献番号になっています。

 

[1] 中公新書 シェイクスピア 河合祥一郎 著(2016)

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河合先生がシェイクスピアの人生と当時の社会情勢、シェイクスピア作品の特色などなどについてまとめたシェイクスピア入門的な本。そんなに厚くない新書なのになんかボリュームがすごい。

 

[2] 三省堂 シェイクスピア・ハンドブック 河合祥一郎小林章夫 著(2010)

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図書館で読んだ。かなり情報量が多いが読みやすい。とっつきやすさと情報量で言えばこれが一番かもしれないけど手元にないのでもう記憶がおぼろげ。

 

[3] 祥伝社新書 あらすじで読むシェイクスピア全作品 河合祥一郎 著(2013)

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河合先生がシェイクスピア全作品(出版時点でシェイクスピア作品とみなされている作品全部)のあらすじとポイントについてまとめた本。一度シェイクスピア作品を読んだ後に索引的に使うように推奨されている。情報がすごくコンパクトにまとまっている。

 

[4] 三省堂 シェイクスピア大図鑑 スタンリー・ウェルズほか 著 河合祥一郎 監訳(2016)

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図書館で読んだ。でかくて装丁がかわいい。百科事典的なつくりになっている。書斎が持てるような金持ちになったら蔵書にほしい。

 

[5] 新潮文庫 決定版 快読シェイクスピア 河合隼雄 著、松岡和子 著(2018)

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ユング派心理学の専門家、臨床心理学者の河合隼雄先生とシェイクスピア訳者松岡和子さんのシェイクスピア作品に関する対談集。臨床心理学者とシェイクスピア全作品を手掛けた訳者の異なる二視点からの話が異常に面白い。

 

[6] 白水社 夏の夜の夢 ウィリアム・シェイクスピア 著 小田島雄志 訳(1983)

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日本語訳は3つ読みましたがこれが一番古い。注釈はついていない。

 

[7] 角川文庫 新訳 夏の夜の夢 シェイクスピア 著 河合祥一郎 訳(2013)

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河合祥一郎先生の訳。河合先生は2022夏の夜の夢(日生劇場)の訳担当。英語の押韻、韻文と散文の違いなどが日本語訳に反映されている。登場人物の名前がギリシャ語読み。注釈が充実している。

 

[8] ちくま文庫 シェイクスピア全集 4 夏の夜の夢・間違いの喜劇 シェイクスピア 著 松岡和子 訳(1997) 

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松岡和子さんの訳。比較的手に入りやすい。注釈が充実している+あとがきから近年の上演の様子がうかがえる。

 

[9] 白水社 ハムレットは太っていた! 河合祥一郎 著(2001)

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河合祥一郎先生がご自身の学位論文を一般書として書き直したもの。当時の社会常識と作品中の描写から、シェイクスピア作品初演時の役者の身体的特徴を論じる内容。初心者的にはちょっと難しかったがめちゃくちゃ面白い。

 

[10] ちくま文庫 すべての季節のシェイクスピア 松岡和子 著(2022)

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シェイクスピア訳者の松岡さんが、シェイクスピア作品について掘り下げた内容を書いたエッセイ。現代において実際に上演された舞台の演出に沿ってシェイクスピアの代表作が解説されている。

 

[11] 駿河台大学論叢 = Surugadai University studies / 『駿河台大学論叢』編集委員会 編 『グリム童話』にみる個性化--「白雪姫」と「ふたりの旅人」 太田隆士(2008)

surugadai.repo.nii.ac.jp

「森 無意識」で検索したら出てきた。グリム童話から2つのエピソードを例に挙げて、グリム童話が個性化の話(ざっくり言えばアイデンティティの確立?心理学全然わからない 多分間違ってます)であることを論じた論文。多分専門的な内容です。難しかった。

 

[12] 研究社 新和英中辞典 第7版(2003)

「lunatic」の意味と語源を調べた。lunatic(狂気)は月が語源です。夏の夜の夢は狂気についてのお話です。(言い方が雑)

 

[13] 角川文庫 完訳 ギリシアローマ神話 上 トマス・ブルフィンチ 著 大久保博 訳(2004)

www.kadokawa.co.jp

テーセウスの話を読んだ。ギリシャローマ神話の登場人物の情報がギュギュッとまとまっています。忙しい人のためのギリシャローマ神話。分厚いけど。

 

[14] 新潮文庫 ギリシア神話を知っていますか 阿刀田高1984

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ギリシャ神話の中でも有名なエピソードについて解説した本。テーセウスが出てくるところを読んだ。イカロスの話ってそういう流れのやつだったんだ…

 

そもそもシェイクスピアって誰

ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)

・近世イギリスの詩人。エリザベス一世からジェームズ一世の時代に活躍した。生年はガリレオ・ガリレイ、没年は徳川家康と同じ。シェイクスピアの人生の間に日本では室町幕府が滅亡し、江戸幕府が開府している。

・イギリスのストラットフォード・アポン・エイヴォンに住む手袋職人の父のもとに生まれた。父は職人でありながら町長の座にまで上り詰めたが、何らかの事情によりシェイクスピアが子供のうちに家は没落した。(この背景には当時のイギリスにおける宗教対立があるのではないかという説がある[1,2]

シェイクスピアは18歳で結婚し20歳で三児の父となるが、その後20歳から29歳までの記録が途絶えている(シェイクスピアの失われた年月)[1,2,3]。再び記録に現れたのは29歳のときで、第三代サウサンプトン伯爵ヘンリー・リズリーへ捧げられた詩集「ヴィーナスとアドーニス」(1593年刊行)の著者として名前が残っている。この時点では既に故郷を離れロンドンに住んでいた[1,2]。また、1593年時点では既に初期作品をいくつか制作している。イギリスの田舎町の青年が消息不明になった後、再び記録に現れたときにはいきなり貴族とも関わりのある詩人となっていたため、このシェイクスピアウィリアム・シェイクスピアと別人ではないかとの説も囁かれるが、同一人物であるのと証拠がしっかり存在する[1]

・記録がないため、シェイクスピアが20代の大半にどこで何をしていたかは明らかになっていないが、1594年に宮内大臣のお抱え劇団(宮内大臣一座)が創設され、シェイクスピアはその座付き作家兼役者となった。(宮内大臣一座のメンバーのほとんどはかつてストレインジ卿一座に所属しており、ストレインジ卿一座はシェイクスピアの作品も上演していたため、ストレインジ卿一座との繋がりが強かったのではないかという見方ができる[1]。)劇団の幹部にもなり、経済的な成功も収めている(ただし劇団幹部や作家としての記録はかなり残っているが、役者としての記録は少ない[1])。

・初期の宮内大臣一座はロンドン郊外のシアター座やカーテン座で上演していたが、シアター座の地主と揉めたため、1599年にロンドンにより近いテムズ河南側へ劇場を建て直した[1]。これがグローブ座であり、日本の東京グローブ座は、もともとは実質シェイクスピア専用劇場としてテムズ河のグローブ座をモデルに建てられたものである。

・1603年にエリザベス一世が逝去した後、ジェームズ一世が即位した際に劇団は宮内大臣一座から国王一座に昇格した。シェイクスピア自身は1613年に引退し、故郷に帰った後生涯を閉じた。

 

シェイクスピア作品の中の夏の夜の夢

宮内大臣一座時代に作られた喜劇で、シェイクスピア作品の中では初期作品に分類される[1,3,4]シェイクスピア喜劇の中でも最も上演頻度が高い作品のひとつ[3,5]で、同時期の作品はロミオとジュリエット[1,3,4]。初演の年は明らかになっていないが、1598年に刊行された書物の中でシェイクスピア作品の1つとして挙げられている[6]

シェイクスピア作品には大抵種本(物語の元ネタ)があるが、夏の夜の夢は種本が特定されていない[3,5,6]。種本が見つかっていないシェイクスピア作品は全40作品中3, 4作品程度で、これらはシェイクスピア独自の創作であると考えられ、中でも夏の夜の夢はその最たるものと言われている[5]。なお、物語の中の個々の要素に関しては、ローマ・ギリシャ神話、イギリスの伝承、ヨーロッパの伝説などのエピソードが使われている。

シェイクスピア作品の中では短めで楽しい作品であること、愛や結婚がメインテーマとして扱われていることなどから、もとは貴族階級の誰かの結婚式を祝うために作られたものではないかという推測が広く受け入れられている[1,4,6]。当時の上流貴族の結婚祝いでは仮面劇や芝居の上演が行われることが多く、夏の夜の夢の劇中劇もそのための芝居として作られている。

 

夏の夜の夢ざっくりストーリー

 

【第一幕】

アテネの公爵テーセウスは元アマゾンの女王ヒポリュテとの結婚式を四日後の新月の日に控えてお祝い気分だったのだが、そこへ貴族のイジーアスが険しい顔をしてハーミア・ライサンダー・ディミートリアスを連れてやってくる。

ジーアスいわく、娘のハーミアが言うことをきかないので、テーセウスに法で裁いてほしいとのこと。ここで言うアテネの法律とは、娘は父親の持ち物であり、父親に従わない娘は死刑に処されるか、月の女神ダイアナ(処女神)に仕える尼となり一生人との関わりを絶つというもの。

ジーアスは娘ハーミアをディミートリアスと結婚させたいのだが、ハーミアはライサンダーと結婚したいと言う。ディミートリアスはハーミアと結婚するつもりでおり、ライサンダーは「僕はディミートリアスと地位も財産も同格だし、ハーミアと両想いだしハーミアと結婚するのにふさわしい。その上ディミートリアスは前までハーミアの親友ヘレナに言い寄り婚約までしていたのに、今ではヘレナを振ってハーミアに言い寄っているのはどうかと思う。その上ヘレナはまだディミートリアスが好き」と対立している。

公爵テーセウスは娘は父の言うことをきくべきだと思うし、法で決まっていることはどうしようもないので、ハーミアに父の言うことをきくか、死刑か、尼になるかのどれかを四日後(自分の結婚式の日)までに選ぶように言う。

 

テーセウスはお前たちに用があるからとイジーアスとディミートリアスを連れて、ヒポリュテと共に去っていった。

残されたライサンダーはハーミアに「遠方に仲の良い未亡人の叔母がいるからそこまで逃げて結婚しよう」と駆け落ちをもちかける。「五月祭の朝に僕が君とヘレナに出会った森で、明日の晩会おう」

という感じで駆け落ちの約束をしたところに、ハーミアの親友ヘレナがやってくる。ハーミアが声をかけるも、「あーーーハーミアは美人でいいなあああ!!!!どうすればディミートリアスに愛されるの!?やっぱりあなたが美人で魅力的だから!?あなたの容姿とか中身とかぜんぶ私にちょうだい!!!!世界が私のものだったらディミートリアス以外のもの全部いらないのに!!!!!!」と完全に荒んでいる。

ハーミアとライサンダーは「安心して、明日の夜駆け落ちするからもうディミートリアスには会わない。このことは秘密にしてね、その後ヘレナがディミートリアスと幸せになれますように」と言って去っていく。

しかし荒み切っているヘレナは「ディミートリアスにこれを教えればディミートリアスは森に行く、ついていけば私はその間ディミートリアスを見れる…」とディミートリアスに駆け落ちのことを教えてしまう。

 

という若者たちと父のいざこざとは全く無関係の話なのだが、町の職人たちも明日の夜に月明かりのもと森へ行くことにしていた。公爵テーセウスの結婚式の夜に出す芝居「世にも悲しき喜劇、ピュモラスとディスベの残酷なる死」の稽古のためである。芝居などしたこともないド素人の寄せ集めがやるしょうもない素人芝居だが、本人たちはこれが名演になると思い込んでいた。

 

【第二幕】

アテネの森では妖精の王と女王がケンカの真っ最中であった。妖精の女王ティターニアはインドで引き取ったかわいい男の子をかわいがっているのだが、妖精の王オーベロンはその男の子を欲しがっている。しかし女王が手放さないので、王と女王は会うたびすごい言い合いをしている。

そんなこともあって王と女王は顔を合わせていなかったのだが、妖精王オーベロンは元アマゾン女王ヒポリュテがお気に入り、女王ティターニアはアテネの公爵テーセウスがお気に入りなので、結婚祝いのために2人ともアテネの森に来ており、案の定鉢合わせしてしまった。

今夜も会うなり「妖精の国を抜け出して女の子口説いてた浮気者!」「お前が言えた話か!いいからあの男の子よこせ!」とものすごい言い合いが始まった。ちなみにそのインドの男の子はティターニアの信者が産んだ子で、女王とその信者は恋人かのように仲が良かったが、信者はお産で亡くなってしまったので女王がその子を引き取ったといういきさつ。

これ以上いるとまたケンカになるので女王ティターニアは去っていった。王オーベロンは女王に仕返しをしようと、いたずら好きの妖精パックを呼び、媚薬の材料を取ってくるように言いつける。この媚薬は「恋の三色菫」の汁で、これを眠っている者の目に塗ると、目が覚めて最初に目にした相手に惚れてしまうというもの(解毒剤もある)。女王にこれを塗って何かしらの奇妙なものに惚れさせ、無様な姿を晒させて、ついでにインドの男の子を奪おうという魂胆。

パックが花を取りに行っている間、待っている妖精王オーベロンのそばを、ディミートリアスと後を追うヘレナが通りかかる。ヘレナからライサンダーとハーミアの駆け落ちを聞いたディミートリアスは2人を追って森に来ていた。人間には妖精が見えないので、王はそのまま二人の会話を聞いていたが、ディミートリアスに冷たくあしらわれても健気に追い縋るヘレナがかわいそうになり、三色菫を持って戻ってきたパックに「アテネの娘が惚れた男に冷たくされててかわいそうだから、この媚薬を少し持って行って男の目に塗り、目覚めたら娘を見るようにしてやれ」と言いつけた。

 

妖精の女王ティターニアが花畑で寝ているところに妖精王オーベロンがやってきて、女王の目に媚薬を塗って去っていく。

その後そこにライサンダーとハーミアがやってきて、「疲れたし道に迷ったから一旦ここで寝よう」ということになる。ライサンダーは近くで寝ようと言ったが、ハーミアは結婚前だからまだダメ!と頑な。「なんで!何もしないよ!」「何かするなんて思ってないわよ!でも結婚前だからダメ!もうちょっと遠く!そうそのくらい!おやすみ愛してる♡」「僕も愛してるおやすみ♡」

そうしてライサンダーとハーミアが眠っているところに妖精パックがやってきて、「これが王様が言ってた男か!?エーッこんなにかわいいアテネの女の子が土の上で寝てるのにそばで寝てやらないなんて冷たい男だ!このヤロウ媚薬塗ってやる!」とライサンダーの目に妖精王から預かった媚薬を塗り、王のもとへ帰っていってしまった。

そこへディミートリアスとヘレナがやってくる。ディミートリアスはヘレナを置いて行ってしまうが、ヘレナは疲れてついていけない。その場で悲しむヘレナは寝ているライサンダーをふと発見し、「死んでる!!?!?」と起こしてしまう。

目に媚薬を塗られていたライサンダーはヘレナを見た瞬間「好きだ!!!ディミートリアスなんか叩っ斬ってやる!!!!」とヘレナに惚れてしまう。ヘレナは「からかってるの!?あなたハーミアの恋人でしょ!!」と憤るが、ライサンダーは「男は理性に支配されるもの!その理性が君だと言っている!」と言い寄り、ヘレナは「馬鹿にしないで!!!!!」と傷ついて去っていってしまった。

ライサンダーは「ハーミアに惚れていたのは(気の迷いに)騙されていたからだ、コイツなんかもう嫌いだ」と寝ているハーミアを置いてヘレナを追った。その後怖い夢を見て目覚めたハーミアはライサンダーがいないことに気付き、ライサンダーを探しに行った。

 

【第三幕】

妖精の女王ティターニアの寝床の近くに町の職人たちがやってきて芝居の稽古をしているところに、妖精パックが通りかかる。パックは稽古の様子を見ていたが、あまりにもクソだったので、主役の職人ボトムが仲間から見えないところへ引っ込んだ隙を見て、ボトムの頭をロバにした。

いきなりロバ頭になった仲間を見た職人は「ボトムが化け物になった!!!」と逃げ出し、パックは「あいつら森で迷わせてやろ!」と追いかけていってしまう。残されたボトムは仲間が自分を怖がらせようとしていると思って、怖くないぞ~と歌いだすが、その歌でティターニアが起きてしまった。

ティターニアは媚薬の効果でボトムに一目ぼれしてしまった。言い寄る女王に、ボトムは「奥さんそれは理性的じゃないんじゃないですかね…」と返すが、完全に惚れてしまった女王には響かない。(通常人間に妖精は見えないが、このときボトムには妖精の女王が見えている)(おそらくロバ頭だから)

ティターニアは「この森から出るなんて言わないで。私はただの妖精ではなくて、常に夏をかしずかせる妖精、その私が愛していると言っているのです」と妖精たちを呼んでボトムをもてなした。

 

妖精王オーベロンのもとに妖精パックが帰ってきて、妖精の女王ティターニアがロバ頭のボトムに惚れたことを告げる。そこへディミートリアスとハーミアがやってきて、王オーベロンは「例のアテネの男だ」と言うが、パックは「違う男だな…女の方は見たけど…」とパックの間違いが発覚。

ディミートリアスはハーミアに愛してると言い寄るが、ハーミアは「あんたライサンダーを殺したんじゃないわよね????」と敵意むき出し。一方のディミートリアスは「君の残酷さに殺されたのは僕…しかしあなたは女神ヴィーナスのように澄んでいる…」とはっきりしない。するとハーミアが怒るので「殺してないよ!!!!」と弁解するものの、ハーミアが怒ったまま去ってしまったので、疲れ果てたディミートリアスは「今追いかけても無駄だ…」とその場で一度眠りについた。

間違いが発覚して焦った妖精王オーベロンは妖精パックにヘレナを連れてこいと言いつけ、そこで眠っているディミートリアスの目に媚薬を塗った。

妖精パックはすぐに戻ってきて、ヘレナとライサンダーがすぐ来ると王に告げる。「おれが間違えた男もいて、ヘレナを口説いて汗びっしょりになってます ばかげた芝居を見てみましょ、人間ってなんて馬鹿なんでしょ!」

ライサンダーとヘレナがやってきて、「君のことが好きだ!」「嘘言わないで!私のことからかってるんでしょ!?」と言い合っていると、ディミートリアスが起きてヘレナに一目惚れしてしまった。自分の取り合いを始めた2人を見て、ヘレナは2人が自分をバカにしていると思って怒る。そこにハーミアもやってきて、ライサンダーに冷たくあしらわれ、ヘレナはハーミアまで自分をバカにしていると絶望し、ディミートリアスライサンダーはヘレナを巡って決闘しようと言い出し、ライサンダーがヘレナに本気だとわかったハーミアは「人の男を誘惑したのね!?私のこと馬鹿にして!」とヘレナを罵り、収拾がつかなくなってしまった。ディミートリアスライサンダーは決闘の場所を探しに去り、からかわれていると思っているヘレナはもう縁を切る!と逃げ出し、ハーミアも呆れてその場を去った。

大変なことになったと思った妖精王オーベロンは、妖精パックにディミートリアスライサンダーを引き離し、2人が眠ったらライサンダーの目に媚薬の解毒剤を塗れと言いつけた。

パックは声真似と黒い霧を使ってライサンダーとディミートリアスを迷わせ引き離した。散々歩かされたライサンダーとディミートリアスは疲れて眠ってしまい、ついでに同じく疲れ果てたヘレナとハーミアも近くで眠ってしまった。互いの姿を認識しないまま四人が眠ったところで、妖精パックはライサンダーの目に解毒剤を塗りつけた。

 

【第四幕】

若者4人がまだ眠っているころ、妖精王オーベロンは妖精の女王ティターニアが未だロバ頭のボトムにぞっこんな様子を見ていた。既に女王ティターニアからインドの男の子を引き取っていたオーベロンは、女王が少し可哀想になり、ボトムと女王が眠ったところを見計らって、女王に媚薬の解毒剤を使った。

女王ティターニアが正気に戻ると、オーベロンは控えていた妖精パックにボトムのロバ頭を取ってやるように言った。そして仲直りした女王と共に妖精たちを引き連れて、公爵テーセウスの婚礼を祝いながら、夜明けとともに去っていった。

 

アテネの公爵テーセウスは、伴回りの者たちと共に婚約者ヒポリュテを連れて森へ狩りにやってきて、そこで眠っている四人の若者を発見した。

テーセウスは「五月祭の準備のために早起きして、我々がここに来ると聞いて挨拶しようと来たのかな?そういえば今日はハーミアが決断の返事をする日だな!?」と4人を角笛で起こした。

テーセウスは「おまえたち(ライサンダーとディミートリアス)仲悪いじゃん?なんでこんなとこで一緒に寝てたの?」と尋ねるが、4人ともどうしてここにいるのかよく覚えていない。

ライサンダーが「本当のことを言うとハーミアと駆け落ちしようとしたような…」と言うと、テーセウスと共に来ていたイジーアスは「アーだめだコイツ!処刑だ!ディミートリアス、コイツ我々を出し抜こうとしたぞ!」と怒り狂ったが、当のディミートリアスは「確かにヘレナに駆け落ちのこと聞いてこの森まで追ってきたんだけど、なんかハーミアに興味なくなっちゃった 今はヘレナと結婚したい」などと言い出す。

これを聞いた公爵テーセウスは、「万事OK!イジーアス諦めろ!もう全員結婚しよう!2組ともおれたちと一緒に結婚式やろう!みんなでアテネに帰ろう!」と自らの伴回りと婚約者を連れて去っていき、若者4人は未だ夢か現か…と話し合いながらそれに続いた。

その場にまだ寝ていた職人ボトムはその後目覚め、「なんか底なしにすげえ夢を見たな…」と1人でアテネへ帰っていった。

 

町の職人たちは公爵テーセウスの結婚を祝うために芝居を出そうとしていたのに、一番重要な役のボトムが森でロバ頭になってしまったので、もう全部ダメだ…と落ち込んでいた。

するとそこにロバ頭の取れたボトムが帰ってきて、「俺たちの芝居が取り上げられたからすぐ宮殿に来い」と言う。職人たちはボトムの帰りを喜び、意気揚々と宮殿へ向かった。

 

【第五幕】

若者4人から昨晩の話を聞いた公爵テーセウスと婚約者ヒポリュテは、「不思議な話だ、信じられない」「でも全く筋が通っていないこととは思えません」と話し合っていた。そこへ若者4人がやってくると、テーセウスは「寝るまで時間があるから余興を楽しもう」と、いくつかある候補の中から「見たことないやつだしこれにしよう!」と例の職人たちの素人芝居を選んだ。(部下には止められたが大丈夫大丈夫!と観ることにした)

職人たちの芝居は本当に素人芝居ではあったが、一同はその素人芝居にやんやと野次を飛ばすのを楽しみ、余興は余興としての役割を存分に果たした。しょうもない芝居で時間を潰した一同は、それぞれの寝室へ消えていった。

人々が寝室へ消えた後、妖精王オーベロンと女王ティターニアが妖精たちを引き連れて現れ、結婚した三組の夫婦を祝って去っていった。

 

②③に続きます。

夏の夜の夢 予習ノート②(シェイクスピア作品について) - ショータイム

夏の夜の夢 予習ノート③(物語の構造と要素について) - ショータイム